どうすればセンサーを活性化できるのか。
「自己受容感覚」を高める方法とは

齊藤 邦秀
パーソナルトレーナー

パフォーマンス向上やケガ防止のカギとなる「自己受容感覚(プロプリオセプロション)」。前回の記事では、その理由についてパーソナルトレーナーの齊藤邦秀氏にお話を伺いました。齊藤氏は、「自己受容感覚を高めてからトレーニングをするのが正しい順序」と言います。

では、どのようにして高めれば良いのでしょうか。前回に引き続き、齊藤氏にその方法を聞きました。

自己受容感覚を高めるための手段とは

ーどうすれば自己受容感覚が向上するのでしょうか。

いろいろな動きをする上で、体の各部位・各筋肉と対話することです。前屈をしたときに、股関節や背骨がどんな状態になっているか。足の筋肉は、モモからふくらはぎまで一箇所ずつどのように伸びているか。ゆっくり対話しながら自分なりに確認する。それを毎日繰り返します。
多くのアスリートはルーティンを大切にしますが、それは各部位の自己受容感覚が優れているから。同じ動きをする中で、全身の感覚と対話する。そうして、今日の身体の状態を細かく確かめているのです。

ー自己受容感覚が高まったとして、それを自分で実感できるものなのでしょうか。

はい。短時間で確認できる方法があるので、実際にやってみましょう。

齊藤さんの画像

まず、左右それぞれ片足立ちをしてみます。その後、特にバランスが取りにくかった軸足で、しばらく小さなボールを踏みます。このとき、ボールを転がすようにして、足裏の筋肉で痛いところ、張っているところを探すのがポイント。実はこれが“対話”で、足裏の状態を意識することで自己受容感覚を呼び覚ましているのです。
足裏の痛いところを見つけたら、そこにボールを当てて強く踏み、5〜10秒キープします。さらに、ボールに体重をかけたまま、足の指をグー・パーと開いて閉じます。これをしばらく繰り返します。
その後、もう一度片足立ちをしてみてください。先ほどより足裏の感覚が研ぎ澄まされていないでしょうか。重心の移り変わりを素早く察知し、細かな微調整をより速く正確に行えるはずです。
こうやって自己受容感覚を高めた上で、トレーニングをしてほしいのです。

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タイツによってセンサーを活性化させるのも有効

ーそれが正しい順序ということですよね。ちなみに、SKINSでも自己受容感覚を高めるタイツ「K-PROPRIUM」が発売されました。色合いの変わったパワーバンドは特殊な素材を使っており、皮膚感覚を刺激(触覚刺激)します。その刺激を利用して、下半身の筋肉や関節の反射作用を働きかける構造になっています。

自己受容感覚を研ぎ澄ますために触覚刺激は有効で、リハビリでもPNF(固有受容性神経筋促通法)という分野が確立されています。皮膚を刺激することで、自己受容感覚の意識づけが高まるんですね。
かといって、触覚刺激は使い方によっては逆効果です。刺激する場所を間違えれば、逆にバランスが崩れて、本来の自己受容感覚が損なわれるリスクもあります。
まずは自力で自己受容感覚を高めることが大前提ですが、その上で“着るサプリ”のように使えば有用ではないでしょうか。

ーアスリートを中心に自己受容感覚が注目されているとのことで、今後、さらにその重要性が認識されるといいですね。

そうですね。トレーニングを頑張る人は増えていますが、その際にベクトルを間違えてほしくありません。ベクトルが違えば、なかなか効果が出ませんから。だからこそ、トレーニングの前に、まず自己受容感覚を高める。その順序を大切にしてほしいと思っています。

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齊藤 邦秀さいとう くにひで

パーソナルトレーナー

ウェルネススポーツ代表取締役。Running Fitness Labo.代表。学生時代からスキーや陸上などを行うが、高校時代に大ケガをし、選手の道を断念。大学時代にスポーツ医科学分野を学び、卒業後はスポーツトレーナーへ。スポーツ選手はもちろん、現在は「ライフスタイルコーチング」として、一般人の健康づくりなど幅広く指導する。